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探偵への道10~刑法その6

前回までで探偵の犯しやすい刑法の主な犯罪について説明しました。あと一般的な刑法に係る犯罪は社会常識に基づいて判断していただければ大体間違いないと思います。例えば、物を壊せば「器物損壊罪」、大きな声を出したり、人を怖がらせれば「脅迫罪」、人に暴力を振るえば「暴行罪」、人にけがを負わせれば「傷害罪」、虚偽の文書を作成すれば「文書偽造罪」などです。それと探偵として刑法で理解しておいた方がいいことに正当防衛があると思います。先日の事例でお話したように調査対象者を写真撮影した際、相手に気づかれ現場で押し問答の末に、暴行を受けるなど考えられます。そのようなときにやられるままでは大けがをすることもあるので、やはり身を守るための必要な防衛行為はしなければなりません。しかし防衛行為が程度を超えたり、要件を欠いたりするとただのけんかとして、両成敗となり、あるいは逆に加害者となる場合もあります。したがって正当防衛については定義及びそれが認められる要件についてしっかり理解する必要があります。今日はそのあたりをお話したいと思います。まず正当防衛とはどのようなものなのかを説明します。定義は「急迫不正の侵害に対し、自己又は他人の権利を防衛するためやむを得ずした行為はこれを罰しない。」となっています。例を挙げると、相手が不法に暴力を振るってきたので、やむを得ず防衛するため相手を押さえつけたら、相手が負傷してしまった場合、この負傷させた行為を罰しない、というものです。これが認められるには3つの要件が必要です。
1つ目は、急迫不正の侵害があること。
違法な侵害行為が差し迫っているか現に存在していることです。過去の侵害行為や時間的に間のある侵害行為は含まれません。
2つ目は、自己又は他人の権利を防衛するためであること。
「防衛の意思」に基づいて行うことを要し、防衛行為が向けられる相手は違法な侵害者に限られます。積極的に相手を攻撃する意思の場合は該当しません。
3つ目は、やむを得ずにした行為であること。
防衛する手段として必要最小限度のものであること、つまり防衛行為の相当性が認められることです。簡単に言うと他に手段がなかった場合です。
以上のうち1つでも要件を欠いた場合は正当防衛は認められませんのでしっかり理解しておきましょう。
刑法についてはここまでにしておきましょう。次回は民法についてお話したいと思います。

赤座警部の全国探偵紹介ネット 代表 赤座孝明

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